今年は、喜びの歌を吹いてみましょう。
毎年お教室では、11月12月は、クリスマスにちなんだ曲をみんなで練習して、年越ししています♪こちらを読んで下さる皆様とも、一緒に練習できればと思います。
喜びの歌は、ベートーヴェンの第九に入っている有名な合唱のメロディです。第九の正式名称は「交響曲第9番 ニ短調 作品125」で、有名な合唱の部分は、一番最後の第4楽章です。通しで聴くと65-80分かかると言われる長い超大作です。
・第九を年末に聴く由来
さて、日本では、12月、年末になると第九を聴く文化がありますね。この由来をご存知でしょうか。なんと、生徒様で知っている方がいて、びっくり。私も、改めて、勉強させて頂きました。
1914年、第一次世界大戦が勃発し、中国で捕虜になったドイツ兵が多数、日本に収容されていました。この時に設置され、「奇跡の収容所」と呼ばれたのが徳島県板東町(現・鳴門市)の「板東俘虜収容所(ばんどうふりょしゅうようじょ)」です。当時の日本では、捕虜に対する暴行や非人道的な扱いは禁じられ、温かい交流が持たれた場所でした。この時、ドイツ兵が礼を尽くす意味で歌われたのが、喜びの歌でした。
その後第九は、第二次世界大戦では、学徒出陣の壮行会、戦没者追悼として演奏されたり、ベルリンの壁崩壊の時に歌われたり、東日本大震災の復興演奏会の曲に選ばれたりして行きます。
・歌詞をご紹介
おお友よ! このような音楽ではない
もっと心地よく、もっと喜びに満ちあふれた歌を歌おう
喜びよ! 神々の美しい霊感よ、天上の楽園エーリュシオンの乙女よ!
我々は炎の陶酔をもって、その天の聖域に足を踏み入れる
あなたの魔力(霊力)によって、時代に引き裂かれたものも再び結ばれ
あなたの穏やかで柔らかな翼のもとに全ての人々が兄弟となる偉大な成功を成し遂げた者よ
一人の友の友となり
愛らしき妻を得た者よ
ともに歓喜の声を上げよ
そう、この地上にただ一人であろうとも
己を大切にすべきと信じられる者も声を合わせよ
しかしそれができぬ者は
涙ながらにこの輪より立ち去るがよい
大いなる人間讃歌と平和への切なる祈り、第九は次の年の幸福を祈る、年末にふさわしい曲だったと解説されています。
・オーケストレーションを見てみましょう。
オーケストラ、声楽、合唱と総勢100人くらい奏者がいないと成立しない豪華なオーケストレーションです。
・CDの収録時間を決めるきっかけとなった!?
雑学ですが、通常のCDの記録時間が約74分であることは、第九が1枚のCDに収まるようにとの配慮の下で決められた。とする説があるんですよ。デジタルとアナログを融合した逸話だなぁとロマンにふけってしまいます。
・耳が聞こえない中の最後の作品
1770年に生まれ、1827年に58歳で亡くなり1824年に作曲されました。初演時には、ベートーヴェンはすでに重度の難聴であり、演奏終了とともに湧き起こった聴衆の大歓声にも気付かなかったといいます。
難聴を感じ、最後の交響曲になるかもしれないと思いながらの作曲は、豪華な編成と長い曲になったのかもしれませんね。
第九、ベートーヴェンの背景を噛み締めて、改めて、喜びの歌と向き合う事が出来ると思います。サックスを元気に楽しく吹いて、良い年越しをしましょう♪
吹きやすくするため、ハ長調にしました。9小節目の中音ミドレ、12小節目中音ドレ下音ソの運指が難しいですね。頑張りましょう。